捗る自炊アイテム・そうでもない自炊アイテム

外出自粛が叫ばれるようになって久しい。

 

多くのご家庭で、自炊頻度が増えているのではないだろうか。

 

本稿では、我が家のクオリティ・オブ・自炊(QOJ)をあげているアイテム/あげると思って買ったけど言うほどあげなかったアイテムを紹介する。

 

これは言うまでもないことだが、

僅かな手順を省くだけで/僅かな調味料の配分の差で完成度が大きく変化する自炊は脳に良い。

 

まだ自炊エンジョイ勢な方が、自炊という名の宇宙に旅立つチケットになれば幸いだ。

 

全然関係ないけどこれは「宇宙での食事」をテーマにしたSF

 

第一章のタイトルが「無料のB定食はない」で、

組み合わせ最適化まわりに詳しい人はビビっときちゃうかもしれない。

 

 

これは私が大ファンな  「小川一水」先生の短編集。

フリーランチの時代があってもいいじゃないか。

 

 

「時砂の王」の外伝が含まれるので、未読の方は「時砂の王」も是非。 

時間を遡る「人類 vs 人類の敵」の戦いの最後の舞台は、邪馬台国

 

 

 本題に戻り、自炊アイテム選びの話をしよう。

 

富士通に勤めていた時代、映画の評価が甘すぎて「君のレビューは信用ならない」と部長に言われたことがある。

 

しかし、普段使う道具に対するレビューにおいては違う。

 

選ぶタイミングでは「モノ系雑誌」を読みまくるし、

 

 

一度「良い」と評価したものに対する評価は簡単に悪い方に覆る。

このブログにおいて、甘い評価は一切ないことを約束する。

 

買って捗ったものたち

ワークテーブル

ワークテーブル(シナモ12078WH)通販 | ニトリネット【公式】 家具・インテリア通販 https://www.nitori-net.jp/ec/product/4030392s/

 

我が家のキッチンは対面式ではないため、正直言ってめちゃめちゃ狭い。

同じ状況の方は、まずはワークテーブルを買って調理スペースを確保すると良いだろう。

 

PCを買うときはまずメモリを最大まであげるでしょう?

 

収納スペースにはこのくらいのバスケットがぴったり。

家庭の事情にあわせて保存食やら調味料やらを格納すると捗る。 

 

 

良い炊飯器

ここ1年ほどで知ったことなのだが、実家の米の銘柄がわからない人類がいるらしい。

 

このアイテムは実家の米がコシヒカリ系なのかあきたこまち系なのかくらいは気になる人向けなのだが、

気になる人の生活の質と体重を間違いなく上げてくれるアイテムだ。

 

 

炊飯器は大きく分けると「IH炊飯器」と「圧力IH炊飯器」があり、その間で大きな味の違いがある。

 

この製品は美味しく炊き上がる「圧力IH炊飯器」側で、さらに釜の熱伝導率が非常に高いものになっている。

誇張抜きで、水道から出したお湯を少しかけるだけで釜が熱を持つ。

そんな釜ではじめチョロチョロ中パッパしたらそりゃ美味しくなるってもんです。

 

しかもこの炊飯器は蒸気が全然でない。気になるよね炊飯器の蒸気。

 

この炊飯器を買うデメリットを無理やり挙げるならば、

旅館で食べる白米の感動が少し薄くなる点だろうか。

毎日食べる白米が、旅館レベルで美味しくなってしまうのだ。

 

良い包丁

通称「きまぐれクック包丁」

 

 

きまぐれクックという、料理系の大人気Youtube チャンネルが存在している。

 

チャンネル登録者数300万人を超す大人気チャンネルの主が使っていた包丁で、

使い始めたころは注文が殺到しどこに行っても買えなかった一品だ。

 

この包丁を使い始めるまでは京セラのセラミック包丁を使っていた。

 

 

セラミック包丁を買った際も適当に買った包丁との切れ味の差に驚き嬉々として台所に立っていたものだが、

ふるさと納税返礼品の冷凍鶏肉を切っている際にカケてしまった。

 

カケてなければこの場で紹介していたのはセラミック包丁だったのだが、

 スミカマと比べてしまったらもう紹介することは不可能だ。

 

スミカマの切れ味は完全に異次元で、「切った」というよりも「元からあった切り口に包丁が吸われている」感触に近い。

熟れたトマトだって薄く切れちゃうんだぜ。

 

素材も強度のあるチタンなので、ニンニクを潰す際にビビる必要はない。

包丁はスミカマ。

 

キッチンペーパーホルダー

 

キッチンの構造によっては、ご家庭によくあるキッチンペーパーホルダーが付けられないことがある。

 

これはマグネットなので冷蔵庫に取り付けることができ、

しかもスパイスを置けたりオタマなんかをぶら下げることができたりする。

 

大きな冷蔵庫

 妻と同棲したての頃は、一人暮らし用の冷蔵庫しか自宅になかった。

 

2人分の食糧を格納するには小さかったので、冷蔵庫を新調した。

 

 

 この冷蔵庫の目玉機能は2つ

  1. 切れちゃう瞬冷凍:包丁で切れる冷凍肉が作れる
  2. 朝どれ野菜室:野菜が長持ちする(これは体感できるくらいの差)

 

ブリタの浄水器

妻と出会うまで水を飲む習慣が私にはなかったのだが、

水を飲むようになってから水道水の匂いが気になるようになってしまった。

 

料理にもお茶にも、この水を使っている。おいC。

 

 

ガラスのボウル

見た目が良いので、このまま食卓に出せる。

 

トマトとモッツアレラチーズとタコを入れたところに塩オリーブオイルレモン汁をかけたサラダがこのボウルのまま我が家の食卓にのぼる。

 

耐熱なところが便利で、レンジもOKお湯もOKである。

 

 

電気圧力鍋

我が家ではほとんどカレー専用機なのだが、 調理時間の短縮に非常に役立っている。

 

なんせ、具を切ってスイッチを押せば野菜ができるのだ。

便利にきまっている。

 

 

メーカーによっては作りが非常に安っぽく、内蓋をつけ忘れても動作してそのまま温度ヒューズが切れたりするので注意が必要だ。

少しでも内蓋がズレた形で付いていることを理由に調理が止まったり、付いていなくても動作したりする。

 

上で紹介した炊飯器は内蓋を忘れていると閉まらない仕様になっている。

これが家電の正しい姿だと思う。

 

ミル付き調味料

特に胡椒は使うたびに挽いた方が良い 

 

 

絹醤油

酸化しないボトルの醤油は本当に酸化しないので、まだ使ったことがないなら使ってみるべき。

ヤマサの絹醤油はその中でも香りが高い。

 

 

チューブ味噌 & 乾燥味噌汁の具

これらを使うと、スプーンすら汚さずに味噌汁を作ることができる。

お湯は電気ケトルなどを使うと良い。 

 

 

 

これから買おうとしているものたち(多分捗るものたち)

 この項目は未検証のものを含んでいる。要注意だ。

 

ウォーターオーブンレンジ

 

オーブンレンジのお化けで、高温の蒸気での調理が可能な代物である。

 

この家電自体は2万円を切る価格帯から存在するが、買うならコレであり、目下いちばん欲しい家電もコレである。

 

ヘルシオの目玉機能は「まかせて調理」機能および「メニュー提案」機能の2つである。

 

レンジに突っ込んだ材料の温度(常温、冷凍、冷蔵)を気にせず、まとめて(しかも、いい感じに)調理できるのが主な購買理由で、冷凍シャケと野菜を突っ込めば食べられる料理にしてくれるのだこの家電は。

 

そのうえヘルシオで可能な調理の幅も広く、

カレーや揚げ物(ノンフライヤー的テンションのもの)まで作れるらしい。

 

「レンジとして利用した際に加熱ムラがある」という話や、

「レンジとして買うと使いきれない」という話もあるが料理をサボれるなら多少はね?

 

電気圧力鍋よりも洗い物が出ない自動調理家電、という点に特に期待している)

 

食洗器

 

はやく ほしい

 

これと取っ手が取れるフライパンの組み合わせは無敵らしい。

温水が出るタイプとそれ以外の壁が大きいらしいぜ。

 

思ったより捗らなかったものたち

フードプロセッサー

モノ自体はコンパクトかつパワフルで良いのだが、

洗うのが手間で使わなくなってしまった。

 

ノンフライヤー

 冷凍から揚げをサクサクにしてくれるだけの機械。

洗うのが手間で使わなくなってしまった。

 

過去最悪の調理アイテム

すり切り1合になっていない米計量カップ

すり切りで1.2合ほど米が掬えてしまうらしく、

このカップにかえてから(気付かず)数回パッサパサのお米を食べることになった。

 

そんなことある?アリかナシかで言ったらナシじゃない?

米計量カップとしてそのデザインは「あり得る」ものだったのか?

 

まとめ?

  • 失敗することもあるけど、調理家電/調味料探索は楽しい
  • これからも続ける
  • 良いものが見つかったらブログ書くね

外出自粛が求められる中、あなたの脳が求めるもの

外出自粛が叫ばれるようになって久しい。

 

おうち大好きな妻からまさかの「自宅に飽きた」発言が飛び出したことで異変を察知した私は、人類を救うべくブログを書くことにした。

手早く症状を改善でき、経済的で、想像をはるかに超える満足を人類にもたらしてくれる対策を私は知っている。

このブログを読んでくれた人が少しでも楽しく(長く)自宅で過ごすことができたなら至上の喜びである。

 

この記事のまとめ

  • それはSF小説
  • 好み別に、オススメSF小説を列挙した
  • ハズレは無い

 

長期の外出自粛の、何があなたを蝕むのか

在宅勤務や本格的な外出自粛がはじまってからどのくらい経っているか、

事情も影響も人によって異なるところだと思う。

 

インドア派な私ですら、1ヵ月の外出自粛で変化の無さに疲れを感じ始めた。

 

つい先ほど自粛ストレス解消のためにステーキを食べてきたが、この程度の外出で完全に解消されるものではなかった。

 

 

どこまで外出すれば人類は満足できるのだろうか。

 

程度は人によって異なるだろうが、想像の限界まで外出できれば不足することはないだろう。大は小を兼ねるのだ。

 

想像の限界まで外出する方法を私は知っている。

 

SF小説だ。

 

この記事では、ニーズ別に、3種類のSF小説をオススメする。

 

  1. 想像の限界まで外出できるSF小説(長編)
  2. 想像の限界まで外出できるSF小説(短編)
  3. 現在セール中のSF小説

 

想像の限界まで外出できるSF小説(長編)

私が知る限り、想像の限界まで外出できるSF小説は「天冥の標」だ。

 

 

全10巻17冊というボリュームの中で訪れる場所は宇宙の遠いところまで、かかる時間は1万年だ。

外出自粛中に、ベッドの中からでも始まる旅のスケールとしては注文を付けられないほどの規模ではないだろうか。

 

「SF満漢全席」と言われるほど多くの要素を持つ小説だが、挫折する可能性は限りなく低い。

作者の小川一水先生は「わかりやすいメインテーマを提示する」スタイルが特徴的な方で、(どの作品も)普段SFを読まない人でも読みやすい内容になっているからだ。

 

メインテーマに関しては読んでからのお楽しみだが、物語はある惑星における「防疫」の話から始まる。

「架空の感染症からはじまるアレコレが、大気圏や世代を超えて歴史を紡ぐ小説」が、天冥の標の最も荒い紹介になるだろう。

 

物語の中に「推しキャラ」を見出すタイプの人には特に強く勧めたい。

推しキャラの先祖や子孫が織りなすアレコレを何世代にも渡って見守ることができる。

 

人間の活動だけに注目しても数百年のスケールで描かれるので、様々面白いことが起きる。

 

「あのときアイツがああ言ったから宇宙が大変なことになってるんだが」

「あの言葉が数千年後に曲解されてるんだが」

「語源はおろか発音すら伝わり方があいまいなんだが」

 

こんな具合だ。

 

「SF当たり年」であった2019年のSF大賞に選ばれた作品でもある。

決してクソ映画が好きな男が己の好みを押し付けるために選んだ小説ではない。

 

sfwj.jp

 

追記 合本版が出たらしいぜ

 

 

 

 

想像の限界まで外出できるSF小説(短編)

 想像の限界まで外出する小旅行に適した作品は「なめらかな世界と、その敵」(略称:なめ敵)だ。

 

 

「なめ敵」で訪れる場所は、(月並みな表現だが)6つのまったく異なる世界だ。

ゼロ年代SFツアー」のような小説で、短編の良さが十二分に詰まっている。

 

発売当時「最初の1行で誰もが混乱し、数ページ読むと誰もが作者の才能に驚愕する」などと言われていた本だ。

 

表題作は変わらぬ自宅の光景に飽きた方には本当にオススメな話で、読む前と後で自宅が(世界が)まったく違ったもの見えるだろう。

こういった感覚をSF業界では「センス・オブ・ワンダー」などと呼ぶのだが、表題作はもっとも簡単にセンス・オブ・ワンダーを感じることができる作品のひとつだと思う。

 

一度味わうとクセになり、センス・オブ・ワンダーを探して何冊もSF小説を読んでしまう非常に厄介な感覚だ。

 

SF当たり年におけるSF大賞の最終候補に残った作品なので、こちらも安心して買って欲しい。

 

私は表題作に加えて「美亜羽へ贈る拳銃」が好きだ。

このラストは、この設定でしか書けない。

 

現在セール中のSF小説

現在も現在、2020/04/13までAmazon 春のハヤカワ電子書籍祭 が開催されている。

最後にセール対象SF小説の中からオススメ作品をピックアップしておく。

半額、限定を賢く選んで旅行したい方にはオススメの選択肢だ。

 

面白すぎてオバマ大統領が「続きをくれ」と作者にメールを書いた「三体」

 

 

少し異色なファンタジーかと思いきやしっかりSFしてる零號琴 

 

 

多くの「ハーモニーおじさん」を生み出した「ハーモニー」 

 

 

世界の終末に備えるマンションの話「我もまたアルカディアにあり」 

 

 

まとめ

  • この機会にSF、読み始めてみませんか

日本でLoLが流行らないのは、本当に「ゲーム性」のせいなのか

日本におけるLoLの流行についてツイートしたところ、少なくない反応が得られた。

 

 

140字に込められなかったものも含めて、

 「何故LoLは日本で流行っていないのか」に対する私の(現在の)考えを書いておく。

 

 他の角度から見れば他の「流行っていない理由」が見つかるだろうとは思う。

よく知られている通り、現実の問題は簡単にできていないので。

 

本当に、日本でLoLは流行していないのか

まずは、「本当に日本でLoLは流行していないのか」を確認してみる。

 

【2019】LoLサーバーごとのランク人口データ

https://lolschool.tech/esports/loljp-population/

 

流行の度合いを「人口あたりのプレイヤー数」で評価すると考えたとき、北アメリカでは日本の13倍、韓国は日本の30倍近く流行している。

 

この数はランクマッチをプレイするユーザー数による比較であるため、「ランクマッチはプレイしないが友人との対人戦を楽しんではいる」ようなプレイヤーは勘定に入っていないし、若年人口の割合に関する補正も入ってはいない*1*2

とは言え、「他国と比較して、人口あたりのプレイヤー数が少ない」という主張に大きな間違いは無さそうである。

 

 確かに、日本においてLoLは他国ほど流行ってはいないのである*3

 

流行していないのに、皆「辞める理由」を話す謎

私のツイートへのリプライ、その他様々な場所で(LoL以外にも、様々なゲームに対して)「***なゲームの性質が故に、流行しないのである」との言及がある。

例えば、以下のようなものがある。

  • 味方に批判されるゲームであるため
  • 敗北の原因が自分にあると認めざるを得ないデザインであるため
  • コーラーの指示に従うのが嫌なため*4

その言及がまったくおかしなことを言っているとは思わないが、根本原因であるという主張を飲み込めないのはどれもが「ゲームを辞める理由」に聞こえるからだ。

 

これらが本当の原因であるならば「かつて多くの人がプレイしていたが、多くの人間がゲームの性質に失望し辞めた状態である」のだろう。

公式掲示板の人口集計スレなどで調べてみたが、 「日本におけるLoLプレイヤーが1/10に激減した」ような現象は発見できなかった。

つまり日本におけるLoLプレイヤーはずっと他国と比べて少ないままで、ゲームを辞めるどころか始めてもいないのである。

それならば、「ゲームを辞める理由」ではなく「ゲームを始めない理由」が説明されるのが自然だろう。

 

ここまでで私が抱いた疑問は以下の2つだ。

  • なぜ、日本におけるLoLの人口は増えないのか
  • なぜ、「ゲームを辞める理由」が説明されてしまうのか

 

これらを同時に説明する仮説を探し、いくつかのゲームとの比較を行った。

 

鍵は心理学・行動経済学

LoLとFortniteとの比較を行った際に、初めて納得のいく仮説が得られた。

「海外製」「対戦ゲーム」という共通の特徴を持ってはいるが、日本における知名度は天と地*5ほどの差がある。

 

「Fortniteは広告がズバ抜けて上手だったからプレイヤーが増えた」と何かの実況動画中で聞いたことを思い出し、調べてみたところ下記のような記事が発見できた。

 

reports.buzzcast.bz

 

「Fortniteはゲームの楽しさを人類に広く伝えるために、非ゲーム系YouTuberの間で流行するコンテンツを製作した」「Fortniteはインターネット・ミームにするための施策を打ちまくった」という旨の内容が書かれている。

実際、2020/01/30現在YouTubeで「ヒカキン Fortnite」と検索するとヒカキン氏が実況している動画を数本発見することができる(一方でヒカキン氏によるLoL実況動画は存在しないようだ)。

 

国内で最も有名なLoL YouTuberのYouTubeチャンネル登録者数・ツイッターフォロワー数はヒカキン氏の1/140であり、さらにその数字は日本サーバーでランク戦をアクティブに遊んでいるユーザー数よりも少ないのである(これは推測だが、チャンネル登録者の多くがLoLをプレイしたことがある方なのではないだろうか)。

 

新規プレイヤーを増やすための広告効果に関しては、大きな違いがあるだろう。 

仮にLoLと他のゲームの間では広告の影響が大きく違うとするとして、その差は2つの疑問を説明するだろうか。

 

多くのゲーマーが広告の影響を受けていると仮定すると、2つの疑問は以下のように説明可能である。

  • なぜ、日本におけるLoLの人口は増えないのか

   → 単純接触効果と確証バイアスによるバフを受けていないため

 

     動画や広告で何度も見たゲームに好意を抱き、プレイする。

    (接触回数の少ないLoLに割かれる可処分時間はない)。

 

  • なぜ、「ゲームを辞める理由」が説明されてしまうのか

   → 現状維持バイアスにより、現状がベストであると説明しようとするため

 

    プレイしたことがない現状の説明を*6 "ゲームの性質"*7 に求める。

    LoLを貶めることにより、現状が正しい状態であることを確認する。

 

人間の心のクセと広告、「何故流行らないのか」という質問自体によって、ゲーマーはプレイしたことがないゲームの性質やコミュニティを貶してしまっていたのである。

 

さらにうまく説明する(私の確証バイアスごと吹き飛ばすような)意見が目の前に現れるまで、「LoLが流行らないのも、やってない人からゲーム性に対する批判を受けるのも、マーケット戦略が問題である」を私の意見とする。

 

道理でEvolveがDeceitがHearthStoneがBattleBornが過疎ってソシャゲが流行るわけだぜ、お前らだけはちゃんとゲームを中身で選んでいると思っていたのに...

 

まとめ

  • ゲームをプレイしない理由を、ゲーム性のせいにするのはやめよう
  • 「実際にプレイして、どんなことを感じたか」を聞きたいよ俺は

 

広告の雨を避けきり、LoLを始めた者に贈られる言葉を紹介して筆を擱くことにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こっちも好きだよ 

 

*1:そもそもゲームって年老いたらプレイできなくなるのか...?

*2:オマケにPCの普及率についての補正も無い

*3:日本人が皆JPサーバーに登録するわけではない点についても、今回は無視することにした

*4:コーラーなんて本当にいるのか...?

*5:言い過ぎかもしれない

*6:ゲームに詳しいという自負があるが故に?

*7:今更だけど曖昧だな

SF小説「息吹」は、脳に良い

 

 

2019年はSF小説のアタリ年だった、と言っても過言ではないだろう。

「"脳に良い2019年生まれSF" 打線」が簡単に組めてしまう。

 

「ああ、なんと良いー年だったんだろう。思い返せばアレもアレも面白かったな、来年はどんなSFと出会えるのだろう」

 

そんなことを考えていた 2019/12/04 に、テッド・チャンによる「息吹」は発売された。

私( Twitter: @_329_)の中で上がっていたハードルを易々と超えて、1冊の小説が打線に加わることとなる。

 

息吹
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テッド・チャン
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この記事の3行まとめ

「息吹」概要

息吹は、テッド・チャン(訳:大森望)によるSF短編集である。

 

作者について

テッド・チャンについては、映画クラスタには「メッセージの原作者」と言うと伝わるだろう。

 

メッセージ (字幕版)
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「息吹」は、そのテッド・チャンによる2冊目の本である。

テッド・チャンは寡作だが、非常に多くの賞を受賞している作家として知られている。

訳者によるあとがきに詳しく書かれているので、デザートとして楽しみに読んで頂きたい。

 

「息吹」収録作品について

「息吹」には短編が9本収録されている。

下記は私が物語中から読み取れたSF的・哲学的テーマで、ネタバレを避けながら列挙されている。

 

   時間

  • 息吹

   秘密(ネタバレ回避)

  • 予期される未来

   自由意志、決定論

  • ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル

   AIの社会参入、AIの責任

  • デイシー式全自動ナニー

   人格形成

  • 偽りのない事実、偽りのない気持ち

   ライフログ、記憶、脳機能

  • 大いなる沈黙

   知的生命体

  • オムファロス

   若い地球説

  • 不安は自由のめまい

   並行世界

 

「息吹」のココが脳に良い

センス・オブ・ワンダーを過剰なまでに接種できる、この一言に尽きる。

人間の心は「不思議な感動」や「異なる角度でモノを見ることができるようになる刺激」を常に求めているし、脳は組み立ててきた窓や眼鏡が崩壊する快感を求めている。

「息吹」はそんな症状に聞くセンス・オブ・ワンダーが詰まったサプリメントで、どれだけSF小説に触れていても用法用量を守ることは叶わないだろう。

「息吹」1冊に含まれるセンス・オブ・ワンダーの量は、「息吹」1冊分だぜ。

 

短編「オムファロス」について

特にセンス・オブ・ワンダー含有量が多いのは「オムファロス」で、

この短編を読むとコペルニクス的転回が読者の中で何度も発生する。

世界の根底が科学によって覆る際の不思議な感動を、何度も味わえるのだ。

 

現実でこれに近い快感を得ることができるとしたら、「P≠NP予想の解決」などだろうか。

答えがどちらにあったとしても、世界が足下から崩壊するような感動を味わうだろう。

ここに

 

「地球外知的生命体探索中に発見した異星からの信号を解析するうちに、人類が紡いできた論理の根本に間違いが発見されて解決に進む」

 

という調味料が付くとSFっぽさが出てくる。

人類は自らの知性をによってこの問題を解決できなかった、という失望は何をもたらすのだろうか。

 

「オムファロス」で得られる快感は「星を継ぐもの」で得られるものに近いように感じた。

「星を継ぐもの」は噛みごたえ充分なハードSFであり、そのラストに込められたものと同じ種類の(大きさも負けていない)感動を短編に凝縮している「オムファロス」は、間違いなくあなたをセンス・オブ・ワンダー中毒にするだろう。

 

短編「予期される未来」について

「予期される未来」で取り扱うテーマ(自由意志、決定論)は、哲学を齧っているだけでも様々な場所で議論や主張を目にするものだ。

「予期される未来」は哲学的な問題に対する解を空想科学によって叩き付けてくるタイプの作品で、

 

こういう技術が登場したら、自由意志は〜と証明されるけど耐えられる?そのとき、あなたの考えはどう変わる?

 

こんな問い掛けが込められている。読んだ後には思考実験をしたくなるだろう。

「予期される未来」が素晴らしいのは、この議論に結論を与えるフィクション成分が非常にコンパクトである点だ。

「こんな小さなアイテムで、私の道徳や意識は窮地に立たされるのか」と驚愕するに違いない。 

 

「息吹」はSF初心者にもオススメなのか

大学の購買部でSF特集が組まれていたのを切っ掛けに、私はSF小説を読み始めた。

最初に手に取った小説は少し読み進めたところで「読み難さ」のようなものを感じ、読み終えぬまま本棚の肥しとしてしまった経験がある。

その他の小説と比べた時に、独特な読み難さを感じる要素があったのだ。

 

私自身まだまだSFファンとしてはフェザー級なのだが、

(現時点では)「SF初心者にもオススメできる作品」には

  • 主題が示されるまでが短い
  • 主題が分かりやすい
  • 登場人物の描写に割かれる文量が他のジャンルとかけ離れていない

こんなものが求められるのではないか、という仮説を持っている。

 

「息吹」について(定性的ではあるが...)評価してみると、

  • 主題が示されるまでが短い(短編のため)
  • 主題が分かりやすい(有名なテーマでラベル付けできる程度には分かりやすい)
  • 登場人物の描写に割かれる文量は、他ジャンルにおける短編と同等

以上から、私は「息吹」はSF初心者にもオススメできる作品であると考えている。

 

懸念点があるとすれば、「短編集である」という部分くらいだろうか。

絶対長編派の方に紹介したいSF小説も山ほどあるので、心配は無用なのだが。

 

 

このブログ記事に影響を受け「息吹」を読んだ方の手に、

現代を生き抜くための良い武器が届くよう祈りながら筆を擱くこととする。