日本でLoLが流行らないのは、本当に「ゲーム性」のせいなのか

日本におけるLoLの流行についてツイートしたところ、少なくない反応が得られた。

 

 

140字に込められなかったものも含めて、

 「何故LoLは日本で流行っていないのか」に対する私の(現在の)考えを書いておく。

 

 他の角度から見れば他の「流行っていない理由」が見つかるだろうとは思う。

よく知られている通り、現実の問題は簡単にできていないので。

 

本当に、日本でLoLは流行していないのか

まずは、「本当に日本でLoLは流行していないのか」を確認してみる。

 

【2019】LoLサーバーごとのランク人口データ

https://lolschool.tech/esports/loljp-population/

 

流行の度合いを「人口あたりのプレイヤー数」で評価すると考えたとき、北アメリカでは日本の13倍、韓国は日本の30倍近く流行している。

 

この数はランクマッチをプレイするユーザー数による比較であるため、「ランクマッチはプレイしないが友人との対人戦を楽しんではいる」ようなプレイヤーは勘定に入っていないし、若年人口の割合に関する補正も入ってはいない*1*2

とは言え、「他国と比較して、人口あたりのプレイヤー数が少ない」という主張に大きな間違いは無さそうである。

 

 確かに、日本においてLoLは他国ほど流行ってはいないのである*3

 

流行していないのに、皆「辞める理由」を話す謎

私のツイートへのリプライ、その他様々な場所で(LoL以外にも、様々なゲームに対して)「***なゲームの性質が故に、流行しないのである」との言及がある。

例えば、以下のようなものがある。

  • 味方に批判されるゲームであるため
  • 敗北の原因が自分にあると認めざるを得ないデザインであるため
  • コーラーの指示に従うのが嫌なため*4

その言及がまったくおかしなことを言っているとは思わないが、根本原因であるという主張を飲み込めないのはどれもが「ゲームを辞める理由」に聞こえるからだ。

 

これらが本当の原因であるならば「かつて多くの人がプレイしていたが、多くの人間がゲームの性質に失望し辞めた状態である」のだろう。

公式掲示板の人口集計スレなどで調べてみたが、 「日本におけるLoLプレイヤーが1/10に激減した」ような現象は発見できなかった。

つまり日本におけるLoLプレイヤーはずっと他国と比べて少ないままで、ゲームを辞めるどころか始めてもいないのである。

それならば、「ゲームを辞める理由」ではなく「ゲームを始めない理由」が説明されるのが自然だろう。

 

ここまでで私が抱いた疑問は以下の2つだ。

  • なぜ、日本におけるLoLの人口は増えないのか
  • なぜ、「ゲームを辞める理由」が説明されてしまうのか

 

これらを同時に説明する仮説を探し、いくつかのゲームとの比較を行った。

 

鍵は心理学・行動経済学

LoLとFortniteとの比較を行った際に、初めて納得のいく仮説が得られた。

「海外製」「対戦ゲーム」という共通の特徴を持ってはいるが、日本における知名度は天と地*5ほどの差がある。

 

「Fortniteは広告がズバ抜けて上手だったからプレイヤーが増えた」と何かの実況動画中で聞いたことを思い出し、調べてみたところ下記のような記事が発見できた。

 

reports.buzzcast.bz

 

「Fortniteはゲームの楽しさを人類に広く伝えるために、非ゲーム系YouTuberの間で流行するコンテンツを製作した」「Fortniteはインターネット・ミームにするための施策を打ちまくった」という旨の内容が書かれている。

実際、2020/01/30現在YouTubeで「ヒカキン Fortnite」と検索するとヒカキン氏が実況している動画を数本発見することができる(一方でヒカキン氏によるLoL実況動画は存在しないようだ)。

 

国内で最も有名なLoL YouTuberのYouTubeチャンネル登録者数・ツイッターフォロワー数はヒカキン氏の1/140であり、さらにその数字は日本サーバーでランク戦をアクティブに遊んでいるユーザー数よりも少ないのである(これは推測だが、チャンネル登録者の多くがLoLをプレイしたことがある方なのではないだろうか)。

 

新規プレイヤーを増やすための広告効果に関しては、大きな違いがあるだろう。 

仮にLoLと他のゲームの間では広告の影響が大きく違うとするとして、その差は2つの疑問を説明するだろうか。

 

多くのゲーマーが広告の影響を受けていると仮定すると、2つの疑問は以下のように説明可能である。

  • なぜ、日本におけるLoLの人口は増えないのか

   → 単純接触効果と確証バイアスによるバフを受けていないため

 

     動画や広告で何度も見たゲームに好意を抱き、プレイする。

    (接触回数の少ないLoLに割かれる可処分時間はない)。

 

  • なぜ、「ゲームを辞める理由」が説明されてしまうのか

   → 現状維持バイアスにより、現状がベストであると説明しようとするため

 

    プレイしたことがない現状の説明を*6 "ゲームの性質"*7 に求める。

    LoLを貶めることにより、現状が正しい状態であることを確認する。

 

人間の心のクセと広告、「何故流行らないのか」という質問自体によって、ゲーマーはプレイしたことがないゲームの性質やコミュニティを貶してしまっていたのである。

 

さらにうまく説明する(私の確証バイアスごと吹き飛ばすような)意見が目の前に現れるまで、「LoLが流行らないのも、やってない人からゲーム性に対する批判を受けるのも、マーケット戦略が問題である」を私の意見とする。

 

道理でEvolveがDeceitがHearthStoneがBattleBornが過疎ってソシャゲが流行るわけだぜ、お前らだけはちゃんとゲームを中身で選んでいると思っていたのに...

 

まとめ

  • ゲームをプレイしない理由を、ゲーム性のせいにするのはやめよう
  • 「実際にプレイして、どんなことを感じたか」を聞きたいよ俺は

 

広告の雨を避けきり、LoLを始めた者に贈られる言葉を紹介して筆を擱くことにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こっちも好きだよ 

 

*1:そもそもゲームって年老いたらプレイできなくなるのか...?

*2:オマケにPCの普及率についての補正も無い

*3:日本人が皆JPサーバーに登録するわけではない点についても、今回は無視することにした

*4:コーラーなんて本当にいるのか...?

*5:言い過ぎかもしれない

*6:ゲームに詳しいという自負があるが故に?

*7:今更だけど曖昧だな